楽しみに発売を待っていた漫画が、ついに書籍になりました。
「きまじめ姫と文房具王子」は月刊!スピリッツで連載中の文具を中心に交差する人々の物語を描いた漫画です。毎回、ひとつの文具がピックアップされ、その文具の歴史やメーカーの特徴、開発秘話・裏話など掘り下げています。
主人公は京都の大学で講師をする姫路かの子(きまじめ姫)。姫と絡むのは研究室をシェアするもうひとりの講師である文具オタク?マニア?の蜂谷皐月(文房具王子)。さらにふたりの講師を取り巻く文具部の部員の生徒たち。個性豊かなキャラクターはもちろん魅力的なのですが、こちらの漫画のもうひとつの側面である「文具」部分がとても面白いのです。
今回の第一巻は、第1・2話がペリカンの万年筆のお話。第5・6話が万年筆で心地よく書くためのノートのお話。第4話ではなかなか珍しい万年筆のインクを消すライオン事務器のインキ消液も登場します。
全体にペリカンのビンテージモデルである【101ラピスブルー】がキーアイテムなので万年筆に寄った物語が多く、万年筆好きにはたまらない漫画となっています。
漫画の中で文具しりとりをするシーンがありますが、「ら」でLAMYが出てくるのも嬉しかったです。いつかLAMY safariも出てくるといいなぁ。
ちなみに、私は万年筆で絵を描くだけではなく、文具メーカーのお仕事もしているので、万年筆も文具も身近な道具です。メーカーの方から色々な小話や開発秘話を聞くことが実際に多く、読んでいてニヤニヤがとまりませんでした。文具は日常に溶け込む便利な道具ですが、「普通」になるまでの道のり物語はどのお話もとても素敵なのです。
漫画を書くにあたり丁寧にメーカーを取材されているのではと感じます。掘り下げの面白さや純粋な文具愛、好奇心が伝わってきます。かといって文具オタクとしてのまとめ方ではなく、漫画として読みやすく楽しめます。文字量が多いので2〜3回読み込むと何度も発見があるかもしれません。
ぜひ万年筆好き・文具好きの方に読んで頂きたい漫画です。