連載|万年筆専用手帳 開発物語 vo.3|製本問題からの解決策

ここ数ヶ月、躓いたままだった紙の製本問題を解決すべく、色々な方に話をしていました。

 

私は仕事でキングジムへよく行きます。

仕事のミーティングのあと、担当さんに万年筆専用手帳を開発していて製本のところで躓いている話をしたら

 

「もしかしたら、ウチの製品で兎村さんが作ろうとしているノートに近いのがあるかも」

と、一冊いただきました。

 

 

STANDIA(スタンディア)というノートです。
http://www.kingjim.co.jp/products/file/brand/standia/

 

私が使いたかった「特厚口」系の紙で、なんと127.9g/㎡というかなり厚い紙です。触った感じも上質紙に近い感じの紙で、なめらか。これは万年筆の走りが良さそうです。この厚さまで紙を攻めると万年筆でも裏表どちらに書き込んでも透けない・裏移りしないので、快適に手帳として使うことができます。

 

 

この厚さの紙を選ぶことはできるのですが、製本機に入らない問題で躓いていました。やはりキングジムでもこの厚さの紙での製本はかなり研究されたそうです。数ヶ月、色々調べていたので、このすごさがわかります。

 

万年筆で描くときに、手があたったり開きが悪いのは気になるなぁと思ったら、このノート、百科事典などでも採用されている「糸かがり製本」なのでばっさーっとキレイに開きます。少し手間のかかる製本方法なので、手にとってみると丁寧に作られているプロダクトだと分かります。

このノートはパッと見た感じだと「普通の高級ノート」という印象かもしれません。この紙でこの製本が成功し、製品になっているのはすごいことなのだと、この数ヶ月の研究で知りました。努力で開発されたノートなのではないかと思います。

機会があれば開発秘話など聞いてみようと思いました。

 

 

紙には薄いブルーで方眼が印刷されているので、ノートを手帳風にカスタマイズする時に、メモリがわりに使えるので便利です。通常の方眼よりかなり薄く印刷されているので、文字や絵の記入後も線は気にならない存在感です。

付箋や写真を曲がらずに方眼に添って貼れるので、ガタガタせずキレイに手帳作りが出来ます。

(もう一種類は方眼ではなく通常の罫線が引いてある)

ほぼ無地に見えるほどさりげなく入っている線なので、手帳の手描き部分をジャマしません。コピーを取ると消えます。SNSにアップするように写真を撮ると、補正でほぼ見えなくなります。

 

 

A5サイズで5mm方眼。47シート94ページのノートで販売価格が900円。最近の少し紙が良いノートの価格帯が、だいたい1,000円くらいなので、真っ白な手帳だと思って買うなら、気にならないコスパかなと感じました。

 

正直、この紙質・紙厚でこのレベルの丁寧な製本で価格が1,000円切っているというのは、裏にすごく企業努力があるのではと思います。もしかしたら生産ロット数が多いのかも知れません。

私が作ろうとしていた万年筆専用手帳も、仕様はほぼ同じなのですが、生産ロットの問題で、この価格に抑えることがなかなか難しくあります。

 

ということで。万年筆専用手帳をオリジナルで作ることは辞めました。理想的な製品がキングジムにあったので、この「スタンディア」というノートを手帳のベースとして使おうと思います。

ノートは全国どこでも買える既製品を使い、そのかわり、このノートを手帳化するためのスタンプやカバーの開発に進もうと思いました。

 

万年筆で手帳を描くワークショップの依頼やリクエストが多いので、このノートをベースに行おうと思います。キングジムの製品なので品質にも安心感があります。

 

キングジム ノート スタンディア A5 方眼 9654H 白
Amazonで購入可能です
https://amzn.to/2KmNo2f

 

次回からはノートのカスタマイズと、万年筆でかわいく手帳を作る方法を紹介していきます。

 

 

それにしてもこの数ヶ月、ずっとノートのことを考えていたので、スッキリしました。長かったなぁ。

 


 

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1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。 子ども・女性向けの絵、暮らしのシンプルな絵を得意とする。ドイツの万年筆LAMYsafariで描く「LAMY Sketch」が人気。